2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07708
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂平 文博 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニホンアシカ / Ancient DNA / ミトコンドリアDNA / 系統学 |
Research Abstract |
ニホンアシカがカルフォルニアアシカの亜種であるのか独立種であるのかを形態学以外の観点から検討するため、まずは比較的入手が容易である考古遺跡から出土したニホンアシカと考えられる遺体からAncient DNAを抽出し、ミトコンドリアDNAの塩基配列の解読を試みた。 北海道礼文島浜中2遺跡と愛知県渥美町保美貝塚から出土したニホンアシカのものと考えられる四肢骨から、わずかに残存しているAncient DNAを抽出し、ミトコンドリアDNAのコントロール領域の約360bpの塩基配列を解読した。その結果、数サンプルにおいてミトコンドリアDNAのコントロール領域の塩基配列が得られた。その塩基配列と他のアシカ科動物の塩基配列を用いて分子系統樹を作成した結果、今回分析したサンプル群でひとつのクラスターを高い確率で形成し、そのクラスターの外縁にカルフォルニアアシカが位置した。この分子系統樹の結果は、独立種であるとする説を支持しながらも、ニホンアシカが亜種であるとする説と整合性を持つものとなった、 また、分子時計によりニホンアシカとカルフォルニアアシカとの推定分岐年代を求めた結果、ニホンアシカとカリフォルニアアシカは約230万年前に分岐したという結果がでた。この推定分岐年代は、アシカ科動物が急速に拡散したと考えられる時期よりも少し新しいながらも、比較的古い段階でニホンアシカが成立したことが考えられる結果となった。 今後は、コントロール領域よりも進化速度が遅いチトクロムb領域などの塩基配列を解読するとともに、博物館などに所蔵されているニホンアシカ剥製標本を用いてより長い塩基配列の解読に試みる予定である。
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