2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07725
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大橋 紗矢香 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Aurora / 分裂期 / キナーゼ / ヒストン / 翻訳後修飾 / p53 / リン酸化モノクローナル抗体 / 癌治療 |
Research Abstract |
1、分裂期キナーゼAuroraのリン酸化活性化機構および基質特異性の解析 Aurora-Bは分裂期の代表的なヒストンH3キナーゼである。そのファミリーであるAurora-Aは-B同様、分裂期に活性が上昇するセリン/スレオニンキナーゼで、主に中心体の制御に関与すると考えられている。今回Aurora-Aの活性化機構および-Bとの基質特異性について解析した。質量解析およびin vitroリン酸化反応によりAurora-Aは活性化ループ内にあるT288のリン酸化が引き金となり活性化し,またR-X-S/Tをリン酸化コンセンサス配列とするアルギニン指向性のキナーゼであることを示した。さらにAurora-Aと-Bの基質特異性がリン酸化部位のP+1にあることを示した。そして今回作成したマウスモノクローナルT288リン酸化Aurora-A抗体はin vitroでAurora-Aのキナーゼ活性を阻害したことから、癌治療として使用できる可能性が示唆された。今後はAuroraの活性化因子および基質を同定し、ヒストンの多彩な翻訳後修飾およびそのクロストークの生理機能を明らかにしたいと考えている。 2、Aurora-Bによる癌抑制遺伝子p53制御機構 ゲノムを取り巻くヒストンの翻訳後修飾は遺伝子の転写を制御する上で非常に重要である。また分裂期における転写制御異常により細胞は分裂異常を起こし、癌化に導かれると考えられる。このような遺伝子発現調節,DNA複製と修復,染色体分離,エピジェネティクスなどの解析はゲノムの動的側面を理解する上で必須である。p53は損傷が起きた細胞の生死を担う重要な転写因子で、約半分の癌において変異が見つかっている。そこで、ピストンH3のキナーゼであるAurora-Bによる癌化メカニズム解明の一環として、癌抑制遺伝子p53との関連に着目した。今回、アミノ酸配列および結晶構造解析によりAurora-Bによるp53のリン酸化部位を同定し、そのリン酸化モノクローナル抗体を現在作成中である。またin vivo、in vitroによるタンパク質相互作用、リン酸化反応、免疫染色によりAurora-Bによるp53の転写機能制御を解析中である。今後も、細胞周期における翻訳後修飾を介した遺伝子発現調節という観念からアプローチする。
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Research Products
(1 results)