2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07770
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 智之 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | カサガイ / 生物地理 / 系統進化 / ミトコンドリアDNA / 超大陸パンゲア |
Research Abstract |
海生軟体動物カサガイ類は、最も原始的な巻貝類として、近年その系統進化史が注目されている。現生のカサガイ類は、これまでの分類学的研究により、5つの科に分類されているが、これらの科の系統関係は明らかにされていない。また、最近になって大西洋の種群については、その起源や分散過程が議論されたものの、全世界的な生物地理学的研究はこれまでに前例がない。そこで本研究では、分子系統学的手法を用い、カサガイ目全体の系統関係を明らかにする事と、海洋生物の生物地理的発展過程の規範的なシナリオを提示する事を目的とした。本研究では世界各地から入手した5科23属140種を解析の対象とし、mtDNAの12S、16SとCOI領域の一部の塩基配列を決定し、計1030bpの塩基配列データに基づき分子系統解析を行った。 その結果、新たに得られた分子データに基づく系統関係は、これまでの形態学に基づく分類体系の修正をせまる結果となった。Patellidae、Nacellidae、Lepetidaeの単系統性は高い統計的信頼性で支持されたものの、AcmaeidaeとLottiidaeは多系統である事が判明した。AcmaeinaeはLottiidaeの中に包含される事が判明し、亜科の分類的正当性を失う事となり、Pectinodontinaeは科のグループとして繰り上げる事となった。また、Lottiidaeに属するPatelloida profundaグループはカサガイ類の中で最も祖先的な種群である事が判明し、形態的にも遺伝的にも他の種群と異なる事から、新科新属を提唱する予定である。さらに、推定された分岐年代と古地理、化石記録、現在の分布を総合的に考察すると、カサガイ類の種の多様性や現在の生物地理は、中生代以降の超大陸パンゲアの分裂とそれに伴う新たな海流系の成立と海洋気候の変化に密接に関連している事が判明した。
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Research Products
(2 results)