2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07772
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村松 加奈子 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 聖徳太子絵伝 / 中世聖徳太子伝 / 絵解き / 浄土真宗 / 掛幅絵伝 |
Research Abstract |
「中世浄土真宗における四種絵伝の研究」実施の二年目は、四種絵伝のうち最も多様かつ復雑な展開を遂げた、中世成立の聖徳太子絵伝を分析対象とし、宗派内における図像の継承のあり方や、受容の問題を主要テーマに研究を推進させた。その際に報告者が注目したのは、静嘉堂文庫所蔵本(旧・愛知県満性寺蔵)、愛知県・万徳寺本、大阪・大聖将軍寺本、富山・城端別院善徳寺本などの、まったく同様の構図・図像からなる一連の太子絵伝の存在である。これら特殊系統の図像を持つ太子絵伝の生成の場を分析し、あらためて浄土真宗内、ひいては中世寺院社会全体における太子絵伝制作の実態について検討を加えたいと考える。本年土中は各作品の実地撮影調査による画像データ収集や、絵解き台本や寺院記録など太子関連文献の分析が中心となったが、本年度中に学会での口頭発表報告および論文執筆に取り掛かる予定である。 また7月には、本学文学研究科比較人文学教授・阿部泰郎氏主催の、富山県南砺市・城端別院善徳寺における「虫干法会」調査プロジェクトの一員として参加し、同寺で展観される「蓮如上人絵伝」の絵解き説法について調査を行い、真宗寺院で継承される絵解きの実態について分析を加えた。また同内容は12月に開催された、名古屋大学文学研究科研究集会「宗教テクストと儀礼フィールドワーク」において、「越中城端善徳寺の掛幅絵伝とその絵解き」と題して口頭発表を行った。本プロジェクトは継続され、来年度には総合的な報告書の制作が予定されている。 対外的な学術発表としては、昨年度の主要研究対象であった、愛知県岡崎市・勝髪皇寺本聖徳太子絵伝に関する諸問題について、第26回密教図像学会(於・名古屋大学、12月2日)での口頭発表を行い、同内容を学術雑誌『佛教藝術』(2007年刊行予定・巻数未定)に投稿した。また2008年刊行予定の『インド美術仏教美術研究論集(仮)』(中央公論美術出版)にも勝鬘皇寺本太子絵伝に関する論考が収録されることが決定している。
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Research Products
(2 results)