2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス事態における中枢-末梢の時系列的相互作用の解明
Project/Area Number |
05J07778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 健太 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リンパ球再配分 / 急性ストレス / 精神神経内分泌免疫学 / 学習 / 意思決定 / ナチュラルキラー細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、急性ストレス反応の時系列的側面を検討し、そのメカニズムを心理的側面だけではなく免疫系・内分泌系なども含め包括的に理解することである。この目的のため、初年度では随伴性の評価の変化する確率学習課題を急性ストレッサーとして用い、学習可能群と学習不可能群を設定することで両軍の末梢ストレス反応を自律神経系・内分泌系・免疫系から評価し、その結果として随伴性の学習が可能か不可能かによりトップダウン的に免疫系が制御されることを示した。二年度目はこの結果を論文として一流国際誌であるBrain, Behavior, and Immunityに投稿し、採択された。また、初年度の結果により、全ての細胞がトップダウン的に制御されるわけではなく、ナチュラルキラー細胞が随伴性の学習に伴って選択的に制御されることが観察されたので、この細胞特異性に関わる調節因子を検討した。具体的にはナチュラルキラー細胞上に発現される接着分子の有無により急性ストレス状況下での免疫系変動がどのように調節されるかを検討した。結果より、接着分子(CD62L)の存在する細胞では急性ストレスによる変動が小さく、さらに時間的にも遅いことが明らかとなった。さらに、先行研究よりCD62L分子を発現していないナチュラルキラー細胞群は細胞障害性が比較的高く、発言している細胞群は細胞障害性が低いことが知られている。よって、二年度目の実験により人はストレス状況下ではまず細胞障害性が高い細胞群を大量に素早く動員する機構を備えていることが示唆された。この結果は第5回精神神経内分泌免疫学会、第66回「American Psychosomatic Society」など各種学会・研究会で精力的に発表された。
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Research Products
(2 results)