2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス事態における中枢-末梢の時系列的相互作用の解明
Project/Area Number |
05J07778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 健太 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 学習 / ストレス / ナチュラルキラー細胞 / エラー関連電位 / 心拍 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は,状況の評価に合わせた急性ストレス反応の調節のメカニズムを,免疫系,内分泌系,中枢神経系指標まで含めて包括的に理解することである.この目的のため,初年度では,時間軸により評価の変化する確率学習課題を利用し,随伴学習の程度により交感神経系活動の高まりが調節され,最終的に初期免疫系であるナチュラルキラー細胞数の増加が調節されることを示した.また,二年度目では,細胞の表面に存在する受容体の密度により,初年度で観察したナチュラルキラー細胞の基礎動態が調節されていることを実証した.さらに,研究計画の最終年度である三年度目では,初年度に観察された学習事態における交感神経系活動の高まりが,中枢神経系における学習の程度と実際に関連しているかを検討するため,学習中の結果のモニタリング過程を反映する事象関連電位であるエラー関連電位を心拍と同時測定することを試みた.結果,エラー関連電位と心拍より算出された心拍変動性の高周波成分(副交感神経系を反映しているといわれる)に関連が観察された.よって,学習事態におけるエラーのモニタリングが副交感神経系に影響することで心拍を調節し,初年度,二年度目において観察された免疫系の動態を調節していることが予測される.事象関連電位と心拍の調節を同時に検討した例は世界的に先進的である.この議論を深めるために,認知機能と副交感神経系との関連に関して世界的な権威であるオハイオ州立大学健康心理学研究室Julian Thayer教授の研究室に半年滞在することで,理論的な背景を考察するとともに世界的な研究者との交流を深めた.
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Research Products
(3 results)