2005 Fiscal Year Annual Research Report
対人認知における誤情報による影響の排除方法の検討とその応用研究
Project/Area Number |
05J07779
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三谷 信広 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 対人感情 / 誤情報 / 対人認知 / 責任帰属 |
Research Abstract |
マスコミ報道における誤報に見られるように,誤情報は我々の社会生活に大きな影響を及ぼす。誤情報の効果やその影響の排除方法に関する既存の研究からは,誤情報の発生後に訂正してもその影響を完全に排除することが困難であること,そして特にその中でも,当該事象に対する感情は訂正後も残存することが示されていた。このことは,誤情報となる可能性のある情報を受け取る段階での,感情への影響を最小限にする必要性を示している。そこで本研究では感情への影響を明らかにするために,マスコミ報道のような他者の行動情報の知覚により,どの対象に対していかなる感情が生起するのかを検討した。これまでの研究からは,他者の行動情報の知覚において,その状況における責任の所在が生起する感情にいかなる変化をもたらすかを記述した感情の帰属理論が提唱されている。本研究では,この理論を拡張した実験を行った。その結果,責任の所在に加えて,その状況で表出される他者の感情反応の種類も,他者に対する感情に影響を与えることが明らかになった。特にこの変化は,他者が表出する感情に含まれる責任帰属の要素が影響していることが示唆された。また,既存の理論では感情反応の対象は他者のみに限定されていたが,本研究では,他者の感情反応の対象に対する感情経験も検討した。その結果,他者の感情反応の種類によって,他者の感情反応の対象に対する感情経験も変化することが示された。この結果は,誤情報による感情の影響が多様な対象に対して見られることを示しており,誤情報の影響の排除において重要である感情への影響を検討する際に,特定の対象に対する感情経験のみを測定していては不十分であることを示している。本研究では感情反応の対象や他者の感情反応の種類の影響について検討したが,今後の研究では,他者の属性そのものによる感情の変化も検討する必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)