2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会的に拡張された自己の認知の事象関連電位研究 -P2とP3への影響の検討-
Project/Area Number |
05J07780
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮腰 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己関連認知 / 脳波 / 親近性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,これまで概念的にしか語られてこなかった「社会的に拡張された自己」の存在を生理心理学的に示すことにある.この問題へのアプローチとして、所有物という具象物に対する自己関連認知の際の中枢活動を電気生理学的に検討した。これまでの実験では,所有物と非所有物とでは認知に差があることが生理学的に示された.そこで,次の段階として,所有物の認知にともなう認知の親近感を,自己認知から分離することが必要となった.自己関連成分から親近成分を差分した結果、後側頭領域の陰性成分が250msで増大し、続いて頭頂領域の陽性成分が400msをピークに増大するという結果が得られた。これらの結果から、まず検討の必要があった親近感の指標としてのP2成分に関しては、後側頭領域の250msの陰性成分は刺激の長期的親近性に感度を持つことが示唆され、これまで1例しか報告されてなかった先行研究の結果を追試することができた。また、従来的な平均加算法によるデータ処理を抜本的に見直すために、ポルトガルのポルトで行われた第2回EEGlabワークショップに参加し、時間周波数解析および独立成分分析の手法について学ぶ機会を得た。得られたデータは、第45回国際学会「Society for Psychophysiological Research」、第23回生理心理学会、第69回心理学会、第7回間行動進化学研究会、第3回国際ワークショップ「Social Cognition : Evolution, Development, and Mechanism」などにおいて発表された。
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