2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会的に拡張された自己の認知の事象関連電位研究 -P2とP3への影響の検討-
Project/Area Number |
05J07780
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮腰 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己関連性 / 親近性 / 所有物 / 脳波 |
Research Abstract |
本研究の目的は,これまで概念的にしか語られてこなかった「社会的に拡張された自己」の存在を生理心理学的に示すことにある.この問題へのアプローチとして、所有物という具象物に対する自己関連認知の際の中枢活動を電気生理学的に検討した。著者らは、所有物の認知における親近性を自己関連性から分離することを試み、自己関連成分から親近成分を差分した結果、P2成分に該当する後側頭領域の潜時250msの陰性成分には有意な差が見られず、その後の成分において分離されることを示した。この結果はBrain and Cognition誌に報告された。一方、従来的な平均加算法によるデータ処理を抜本的に見直すために、カナダ国トロント州ヨーク大学やアメリカ合衆国のカリフォルニア大学サンディエゴ校SCCNなどでデータ処理と解析について学んだ。特に後者においては脳波解析の第一人者とされるMakeig氏の知遇を得ることができ、ウェーブレット変換を用いた時間周波数解析を始め、独立成分分析と呼ばれる信号解析のアルゴリズムの数学的基礎を学ぶなど、コンピューティングと信号処理アルゴリズムの両側面から脳波解析に対する理解を深めることができた。従来的に脳波は加算平均法によって標準的に処理されてきたが、これらの方法を用いることではるかに多くの情報をデータから引き出すことができることから、これらの進歩的な解析手法は応用数学によってもたらされたパラダイムシフトだといえる。筆者はこれらの解析手法を習得することができたため、それらを用いた研究結果の発表を急務とする傍ら、国内の研究状況においてそれらをひろめていくことの有益性を信ずるものである。
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Research Products
(1 results)