2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会的に拡張された自己の認知の事象関連電位研究-P2とP3への影響の検討-
Project/Area Number |
05J07780
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮腰 誠 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己関連性 / 親近性 / 顔 / 左右差 / 脳波 |
Research Abstract |
昨年度、本研究者らグループによって、脳波成分のうち後側頭領域の潜時250msの陰性成分(P2、あるいはN250)が親近性を反映することが発表された。しかしながら、この成分が自己関連性と親近性とを分離するかについては明らかではなかった。今年度は、この脳波成分が実は右半球と左半球とでそれぞれ自己関連性と親近性を別個に反映する可能性があることが本研究者らグループによって明らかにされた。この知見はInternational Journal of Psychophysiology誌に報告された。さらに、自己関連認知における大脳半球の左右差を積極的に検討するため、半側視野提示法を用いた実験を行なった。その結果、やはり前述の知見を支持する結果が得られ、自己関連認知と右半球との関係性がより直接的に証明された。この知見はNeuropsychologia誌に現在投稿中である。このように、本研究者は専門である生理心理学の領域において、すでに確立された方法論を用いて研究成果を挙げた。その一方、応用数学を用いた新しいデータ解析の方法の可能性についても、本研究者は研究を行ってきた。この方法は、その約束された可能性に関わらず、日本はおろか世界的にもまだ広く受容されているとはいいがたい状況にある。そのため、この方法論の発信と普及を目的とした発表を、6月に札幌で開かれた第1回YERP研究会、および9月に東京で開かれた日本心理学会第71回大会において、それそれ行なった。特に後者においては、本研究者の発表に加え、この手法についての世界的権威であるMakeig氏を招聘し、1時間にわたる講演を行なってもらった。この手法は、これまで観察できなかった現象を可視化するもめであり、将来的に脳科学全体にブレイクスルーをもたらすものであると本研究者は確信している。
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Research Products
(6 results)