2006 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度Bファクトリー実験のためのエアロジェルRICH検出器の開発研究
Project/Area Number |
05J07786
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小酒井 良延 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リングイメージング / RICH / エアロジェル / 粒子識別 / Bファクトリー |
Research Abstract |
本研究ではエアロジェルを用いたチェレンコプリングイメージング型粒子識別装置(エアロジェルRICH)を実用段階まで開発することを目的としている。本年度の研究では、このエアロジェルRICHで使用予定である光検出器に関して重点的に研究を行った。 エアロジェルRICHは高輝度Bファクトリー実験での使用予定の検出器であり、そのためにこの検出器は強磁場中(1.5テスラ)で動作することが求められる。また、チェレンコフ光によるリングイメージを精確に検出するために1光子の検出が可能であり、かつ5mm四方の位置分解能を持つ光検出器を使用する必要がある。これらの要求を満たす光検出器として144chマルチアノード型HAPD(Hybrid avalanche photo detector)と呼ばれる光検出器を浜松ホトニクス社と共同開発している。一昨年度の試作機は製作段階における光電面の量子効率の低下が発生していることがわかり、問題となっていた。その対策を行った新しい試作機が昨年度完成し、性能評価(ゲイン、光電面の量子効率とゲインのユニフォミティー、位置分解能、クロストークの測定)を行った。量子効率は製作過程の改良によって〜10%であったものが約24%にまで改善され、我々の要求を満たすサンプルの製作が可能となった。ベンチテストの結果では、ゲイン7,320、シグナルノイズ比4.9を達成して明瞭な一光子事象を検出ことができた。ゲインのユニフォミティーのばらつきは20%以内に抑えられており、実用にあたっては問題ないことが明らかとなった。 昨年度における開発研究においてHAPDの製作技術を確立することができた。昨年度末からさらに複数本のサンプルの制作に入っており、今年度の夏までに約10個の試作行う予定である。
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