2007 Fiscal Year Annual Research Report
セリウムの存在度異常を持つ隕石包有物を用いた先太陽系絶対年代測定の試み
Project/Area Number |
05J07817
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若木 重行 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 難揮発性包有物 / 希土類元素 / 安定同位体分析 |
Research Abstract |
1.Total evaporation normalization質量分析法による微量Ndの同位体比分析 微小な隕石試料の同位体比測定を精度よく行う為の手法として、新たにTotal evaporation normalization質量分析法を考案した。この手法によって、従来は困難だったNd量が数ngに満たない試料に対するNd同位体比測定が、およそ±0.1%。の繰り返し精度で可能となった。この精度は、始源的隕石に含まれるCAIに期待される核種合成起源の同位体比異常と比較して小さく、本手法の導入によって数mg〜サブmgの難揮発性包有物の分析が可能となった。 2.地球・宇宙物質のNd・Sm安定同位体存在度変動の研究 同位体の質量差に依存する同位体分別の結果として生じる安定同位体存在度の変動は、物質形成に関わる物理化学過程に関する情報を示す事が期待される。本研究では、double spike表面電離質量分析法による、NdおよびSmの高精度安定同位体分析法を開発した。本年度は、同一試料に対して多元素の同位体分析を行いうるよう、化学処理法の改良を行った。これにより、Nd・Sm安定同位体存在度変動を放射起源Nd同位体比および希土類元素分別パターンと組み合わせて分析する事が可能になった。次に、地球物質のNd・Sm同位体存在度を特徴づけるため、様々な岩石試料に対するNd・Sm安定同位体分析を行った。火成岩および海成のマンガンノジュール・珊瑚は、それぞれ一致したNd・Sm安定同位体存在度を示した。これは、マントル物質および現世海水がこれら2元素の安定同位体に関して均質であるという事を示唆する。一方で、海成炭酸塩岩は、火成岩に対し重いNd・Sm安定同位体存在度を示し、炭酸塩岩生成過程でこれら2元素の同位体分別が生じている事が明らかとなった。また、宇宙物質として月試料のNd安定同位体分析を行った。
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Research Products
(5 results)