2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機へテロ接合界面における有機分子の配向性及び電子準位接続に関する研究
Project/Area Number |
05J07823
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河邉 英司 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フタロシアニン / GeS(001) / 界面 / NEXAFS / ARUPS / 分子配列 / 分子配向 |
Research Abstract |
今年度は、(1)新規高分解能角度分解紫外光電子分光器(オミクロン社製AR65アナライザー)の立ち上げ、(2)高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー(KEK-PF)及び分子科学研究所極端紫外光研究施設(UVSOR)での実験を行った。 (1)では光電子強度増加のため、光源として用いる真空紫外放電管(オミクロン社製HIS13)のキャピラリー径を1.7mmから2.2mmに変える改造をした。現在その光源を用いてアナライザーを調整中である。 (2)の実験の内、KEK-PFでは吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)測定により、GeS(001)上での亜鉛フタロシアニン(ZnPc),ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニン(F_<16>ZnPc)及び銅テトラキスチアジアゾールポルフィラジン(CuTTDPz)膜中での基板表面に対する分子の配向角を求めた。多層膜(膜厚約5nm)での配向角はZnPcで10±3.5°、F_<16>ZnPcで15±4°、CuTTDPzで35±5°であることが分かった。以前の測定結果では、単分子層におけるZnPc分子の配向角は約15°であったことから、ZnPc膜中での分子は積層によって基板表面に対しより平行な配向になったことが分かった。一方、F_<16>ZnPcやCuTTDPzでは単分子層ではほぼ平行な配向であったことから、積層により分子面が傾いていくことが分かった。 UVSORでは以前の測定結果からは分かっていなかった、GeS(001)上におけるF_<16>ZnPc分子の基板面方位に対する回転角についての情報を得るために、光の入射方向による角度分解紫外光電子分光(ARUPS)スペクトルの変化を調べた。現在この結果を解析中である。この結果と以前に測定した低速電子線回折の結果とあわせてGeS(001)面上でのF_<16>ZnPc分子の配列・配向を完全に求めることができると考えている。
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