2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケを用いた葉緑体PPRタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
05J07839
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 満 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | PPR / 葉緑体 / ヒメツリガネゴケ / 転写後制御 |
Research Abstract |
植物特異的に大きなファミリーを形成しているPPRタンパク質を、コケ植物であるヒメツリガネゴケを用いて解析を行っている。 1,ヒメツリガネゴケにおけるPPRタンパク質ファミリーの検索 研究当初、ヒメツリガネゴケでは35個のPPRタンパク質を確認していたが、検索方法等を改良することによって、現在92個まで確認するに至った。そのうち葉緑体に局在すると予測されるタンパク質は15個であった。この割合はシロイヌナズナのPPRタンパク質とほぼ同じであり、すでに初期の陸上植物でPPRタンパク質が重要な役割を担っていたことを推測させるデータである。 2,ヒメツリガネゴケPPRタンパク質、PPR531-11の解析 ヒメツリガネゴケPPRタンパク質の中から、PPR531-11を選抜して配列を決定し解析を行っている。PPR531-11はGFP融合タンパク質での局在実験から、葉緑体に局在することが証明されている。また、暗所ではそのmRNAの蓄積量が減少することが確認された。 PPR531-11の第5エキソンに薬剤耐性遺伝子を挿入した変異株を作製した。その表現型は野生株と比べて成長が遅く、葉緑体の形状が異常であった。野生株と変異株それぞれの葉緑体を透過型電子顕微鏡を用いて詳細に観察したところ、変異株の葉緑体は膜構造が不均一で異常な形態を示していた。そこで葉緑体遺伝子の発現パターンをノーザン法で解析した結果、clpP-5'rps12-rpl20領域においてそれぞれの転写物の発現パターンが野生株と異なっており、変異株は遺伝子間のプロセシングが正常ではないことが分かった。以上のことから、PPR531-11はclpPのプロセシングに重要な機能を持っており、表現型の異常はclpPの発現異常によるものであると推測される。
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