2005 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞分化因子シグナル伝達経路におけるTAK1・MAPKKKの機能同定
Project/Area Number |
05J07841
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上村 規行 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 細胞内シグナル伝達 / 破骨細胞 / 骨恒常性 / 細胞分化 |
Research Abstract |
破骨細胞分化因子(RANKL)は、破骨細胞の分化と活性化に必須の因子である。RANKLは細胞表面のレセプター(RANK)に結合し、転写因子NF-κBとc-fosの活性化、MAPキナーゼJNKとp38の活性化およびc-srcの活性化を介して破骨細胞分化に働く。しかし、レセプターからこれらの活性化に至るまでのシグナル伝達の機構は十分解明されていない。これまでの研究の結果、TAK1がRANKLによるNF-κB、JNKの活性化に必須の働きをしていることが明らかになっていた。このことは、TAK1がRANKLシグナルにおいて中心的働きをしている可能性を強く示唆する。そこで、本研究では、TAK1が破骨細胞分化で果たす役割を明らかにすることを目的とした。 TAK1が破骨細胞分化に必須であるか検討するため、野生型およびTAK1ノックアウトの破骨細胞前駆細胞を単離し、RANKLによる破骨細胞への分化誘導アッセイを行った。その結果、TAK1ノックアウト細胞ではRANKLによる破骨細胞への分化が起こらなかった。さらに、TAK1ノックアウト細胞ではRANKLによるc-src、c-fosの発現誘導が見られなかった。以上の結果は、TAK1がRANKLによる破骨細胞分化に必須の働きをしていることを示している。 さらに、TAK1のアダプター分子TAB2が破骨細胞分化において果たす役割を解析するため、TAB2ノックアウト破骨細胞前駆細胞を単離し、同様のアッセイを行った。その結果、TAB2ノックアウト細胞においてRANKLによる破骨細胞への分化、およびc-src、c-fosの発現誘導が見られなかった。以上の結果は、TAB2がTAK1と同様RANKLによる破骨細胞分化に必須の働きをしていることを示している。 今後は、TAK1およびTAB2が骨の恒常性について果たす役割を、個体レベルで解明することを目的とする。
|
Research Products
(1 results)