2005 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞に発現するToll様受容体(TLR)のT細胞活性化・分化制御における役割
Project/Area Number |
05J07847
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今西 貴之 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | TLR / T細胞受容体 / Th1 / サイトカイン |
Research Abstract |
Toll-like receptor(TLR)はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞上に発現し、病原体に特有の分子パターンを認識することにより、自然免疫系を活性化し、その後の抗原特異的な獲得免疫の活性化を誘導することが知られている。しかしながら、TLRの発現は自然免疫系の細胞だけでなく、獲得免疫系のT細胞においてもその発現が確認されており、本研究ではその生理的な意義を解明することを目的とした。 まず初めに、ナイーブCD4+T細胞を種々のTLRリガンドで刺激したところ、TLR2リガンドに反応して、NF-κBやERK、p38、JNKなどのシグナルが弱いながらも活性化されたが、サイトカインの産生や細胞増殖、活性化マーカーの発現などは認められなかった。しかしながら、T細胞受容体(TCR)とTLRを同時に刺激することによりIL-2の産生やc-Myc、Bcl-xLなどの遺伝子の発現が相乗的に誘導された。 次に、エフェクターT細胞のサブセットの一つであるTh1を種々のTLRリガンドで刺激したところ、TLR2リガンドに反応して、NF-κBやERK、p38、JNKなどのシグナルが強く活性化され、IFN-γの産生や細胞増殖が誘導されることが明らかになった。また、TLR2リガンド刺激により、CD69などの活性化マーカーやc-Myc、Bcl-xLなどの遺伝子の発現も強く誘導された。さらに、TLR2刺激によるIFN-γの産生はIL-2やIL-12などのサイトカイン存在下により、相乗的に増大し、TLR2+IL-2刺激ではp38とJNKの、TLR2+IL-12刺激ではp38の相乗的な活性化が認められた。 一方、別のエフェクターT細胞サブセットのTh2においては、TLR刺激によるIL-4などのTh2サイトカインの産生は認められなかった。 以上の結果から、T細胞も抗原提示細胞と同様に病原体を直接認識することにより、抗原刺激後のT細胞、特にTh1細胞の活性化を促進することが明らかになった。
|