2007 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞に発現するToll様受容体(TLR)のT細胞活性化・分化制御における役割
Project/Area Number |
05J07847
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今西 貴之 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | TLR / TCR / T細胞 |
Research Abstract |
Toll-like receptor(TLR)はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞上に発現し、病原体に特有の分子パターンを認識することにより、自然免疫系を活性化し、その後の抗原特異的な獲得免疫の活性化を誘導することが知られている。しかしながら、獲得免疫系のT細胞におけるTLRの役割は明らかになっていないため、その機能と分子機構を解明することを目的とした。 まず初めに、ナイーブCD4+T細胞を種々のTLRリガンドで刺激したところ、活性化の誘導は認められなかったが、TLR3(Poly I:C)とTLR9(CpG-DNA)リガンド刺激による生存延長の誘導が認められた。さらに、T細胞受容体(TCR)とTLRの同時刺激により、TLR2(リポペプチド)、TLR3とTLR9リガンドに反応して、増殖や生存延長、IL-2の産生、c-Myc、Bcl-xLなどの遺伝子発現とNF-κBの活性化が相乗的に誘導された。 そこでTLRの下流で必須の役割を果たすアダプター分子MyD88とTRIFを二重欠損したマウス由来のT細胞を用いて同様の実験を行ったところ、TCR+TLR2刺激によるT細胞の増殖とIL-2の産生の増強はMyD88/TRIF二重欠損T細胞で認められなかった。しかしながら、Poly I:CあるいはCpG-DNA刺激による生存延長の誘導とTCRとの共刺激による増殖とIL-2の産生増強はMyD88/TRIF二重欠損T細胞でも正常に認められた。 以上の結果から、リポペプチド刺激によるT細胞の活性化の増強がTLR2を介して行われるのに対して、Poly I:CあるいはCpG-DNA刺激によるT細胞の生存延長の誘導と活性化の増強はTLR以外の受容体を介して行われることが示唆された。
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