2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物の機械刺激受容チャネルによる重力感知機構の生物物理学的研究
Project/Area Number |
05J07852
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊田 正嗣 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 重力 / 屈性 / アミロプラスト / 機械刺激受容チャネル / カルシウム / 生物物理 / 植物生理 |
Research Abstract |
植物には重力方向を感知し、成長方向を制御する重力屈性反応が顕著に見られる。多くの遺伝学的知見から、植物個体において重力感知は特化した細胞(茎では内皮細胞、根ではコルメラ細胞)内で行われると考えられている。これらの細胞内で重力刺激は何らかのシグナルに変換されると考えられているがその過程は未だ不明である。そこでCa^<2+>レポータータンパク質であるエクオリンを導入したシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて、重力方向の変化にともなう[Ca^<2+>]_<cyt>(細胞内Ca^<2+>濃度)の変化を測定した。その結果、シロイヌナズナを重力方向に対して180度回転させた時、一過的に[Ca^<2+>]_<cyt>が上昇し、非常にゆっくりと減衰することを見出した(減衰時定数:60秒)。この[Ca^<2+>]_<cyt>増加量は回転角度に依存性を持つが、回転角速度に非依存であることが分かった。またCa^<2+>キレーターであるBAPTAで細胞外を処理した時に完全に消失し、機械刺激受容チャネルの阻害剤であるGd^<3+>処理で可逆的に抑制された。更に細胞骨格重合阻害剤処理による実験により、アクチンの関与が示唆された。また[Ca^<2+>]_<cyt>応答部位と特定するために、光子を蓄積して画像化するVIMカメラを用いた測定を行ったところ、内皮細胞が多く存在する胚軸および葉柄に強く見られた。これらの結果からシロイヌナズナの地上部(胚軸)における初期重力応答に[Ca^<2+>]_<cyt>の関与が示唆された。また[Ca^<2+>]_<cyt>応答は細胞膜上に存在する機械刺激受容チャネルを介して起こり、そのチャネル活性にアクチンの関与が示唆された。
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