2007 Fiscal Year Annual Research Report
気象変化による慢性痛増強に関わる生体内気圧受容器の解析-内耳器官の重要性-
Project/Area Number |
05J07855
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟久保 恵美 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 気圧 / 前庭神経核 / ラット / 単一神経放電記録 / 気象変化 / 天気痛 |
Research Abstract |
気圧・気温低下など気象変化により、ヒトの慢性痛が増強する現象が知られている。我々はこれまでに、慢性疼痛モデルラットを日常の気象変化で起こりうる程度の強さ・変化速度の人工的気圧低下環境に曝露し、その痛み行動が増強することを明らかにした。また、ヒ素注入により内耳を破壊した慢性痛モデルラットに対して気圧低下の影響を観察したところ、内耳破壊が慢性痛増強を抑制する結果を得た。これは内耳に何らかの気圧検出機構が存在することを示唆している。そこで、内耳の気圧検出機構を明らかにするため、健常ラット前庭神経核の単一神経放電記録を行い、気圧低下に対する応答を調べた。 大気圧から40hPa気圧を低下させ、設定気圧到達後8分間低圧を維持し、その後大気圧に戻し、その間の反応を観察した。昨年度までに合計40例のニューロンを記録し、そのうち17個に気圧低下曝露を行うことができた。そのうちの5つで放電頻度の増加が観察でき、気圧低下に対する反応は以下の3パターンに分類できた。気圧低下により、1)放電頻度が増加し、復圧により元に戻る(3例),2)放電頻度が増加し、そのまま持続する(1例),3)変動のあった放電頻度が一定になる(1例)。5例中4例は前庭刺激(回転、カロリックテスト)にも反応したが、1例は気圧以外の刺激には応答しなかった。従って、気圧にのみ反応するニューロンの存在が示唆される。今年度は上記1)のパターンの二ューロンがさらに2つ記録でき、気圧低下に反応するニューロンの存在が明らかとなった。そこで、気圧をいろいろな大きさ、速度で段階的に変化させたときの刺激反応性、放電数への影響の解析を進めている。また、慢性痛モデルラットの痛み行動を惹起するには5hPa/h以上の速度で5hPa以上の気圧変化が必要であることを明らかにした。気圧検出機構が内耳器官に存在する可能性について、行動実験を主体に論文執筆中である。
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Research Products
(3 results)