2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の時計関連遺伝子APRR1/TOC1ファミリーの分子機能解析
Project/Area Number |
05J07859
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 照悟 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 概日時計 / プロモーター / シロイヌナズナ / 高等植物 / 環境応答 / 情報伝達 / 光応答 / リズム |
Research Abstract |
高等植物のモデル植物であるシロイヌナズナにおいて多くの時計関連因子が見いだされてきた。中でも、疑似レスポンスレギュレーターと呼ばれる一連のタンパク質因子PRRsは興味深いファミリー因子群である。なぜならば、シロイヌナズナの時計構成因子として同定されたTIMING OF CAB EXPRESSION1(TOC1)がそのファミリーに含まれるからである。さらに、PRRsは夜明けとともに自身の発現レベルがPRR9→PRR7→PRR5→PRR3→PRR1の順に2〜3時間のずれをもって規則正しく概日リズムを刻んでいることが分かった。概日リズムと光シグナル情報伝達機構の関連性を分子レベルで理解するうえで、PRR1/TOC1だけでなく、他のPRRファミリー因子も重要であることを示す証拠が蓄積している。 詳細な解析からPRR9は概日時計機構からの転写制御を受けるだけでなく、フィトクロムシグナル情報伝達を介した迅速な光誘導も受けることがわかった。PRR9の特徴的な転写レベルでの制御機構を解析するため、PRR9の5'上流領域をLUC(luciferase)レポーターを用いて詳細に解析した。これらの解析から、PRR9プロモーター上流に少なくとも二つの別々の調節シス領域、(1)光シグナル応答配列と(2)概日リズム形成に必要な配列を同定した。しかしながらこれらの解析から得られた転写レベルの調節が本当にタンパク質量に実際に反映されているかどうかは疑問である。これらの問題にアプローチするため、エピトープタグを付けたPRR9タンパク質を発現する形質転換植物体を確立しタンパク質量を検出した。実際にPRR9のタンパク質量は、mRNA量を反映して概日変動していた。さらにPRR9タンパク質は明条件で蓄積し、暗条件で減少していた。この変動にはユビキン-プロテアソーム系による分解機構が関与していることが示唆された。 今後は、核内で重要な働きをしていると考えられるシロイヌナズナの振動体分子とPRRとの関係を明らかにするため、時計複合体の分離精製を行おうと予備実験を進めている。
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Research Products
(2 results)