2005 Fiscal Year Annual Research Report
エンドソーム経路におけるCHMPファミリーの機能解析
Project/Area Number |
05J07865
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寄川 千晴 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エンドソーム経路 / 小胞輸送 / CHMPファミリー / ESCRT |
Research Abstract |
エンドソーム経路の物質の選別を司るMVB形成は、細胞質側に存在する複合体によって制御されている。出芽酵母を用いた遺伝学的解析が複数のグループにより展開され、classEタンパク質の中のESCRT複合体を構成する因子が同定された。そして、酵母におけるMVB内部小胞への蛋白質選別は、ESCRT-I,-II,-III複合体が連接して行っていることが明らかとなりつつある。申請者らが研究過程で同定したヒトCHMP4b・CHMP6の酵母ホモログは、ESCRT-IIIに分類される。CHMPファミリーは類似の構造をもつ6種のCHMP蛋白質からなるが、その酵母ホモログの変異株は、全て液胞輸送経路が破綻している。申請者らは、ヒトCHMP4・CHMP6を中心に、CHMPファミリーの複合体形成機構とエンドソーム経路における生理機能の解明を目的として研究を行った。さらにCHMPファミリーと相互作用する蛋白質においても、相互作用や局在解析を行い、CHMPファミリーを中心とした分子作用の流れを解析し、モデル化することを目指している。 まず、内在性CHMP6の解析のために、CHMP6の組み換え蛋白質を、大腸菌での発現系を用いて大量発現させ、精製して抗原とし、ウサギを免疫することで、CHMP6を認識する特異的ポリクローナル抗体を作製した。 また、すでにCHMP6との相互作用を見出しているESCRT-II構成因子(EAP20、EAP30、EAP45)のそれぞれについて、領域欠損変異体発現プラスミドを構築し、結合領域および結合条件の同定を共免疫沈降法およびpull-down法を用いて行った。さらにclassEタンパク質であるAlixはESCRT-1およびESCRT-IIIに結合する報告があるが、ESCRT-IIと結合するという報告はなされていない。ESCRT-IIタンパク質中にAlixと結合する可能性のある配列を見出したため、AlixとESCRT-IIタンパク質との相互作用を、共免疫沈降法及びpull-down法を用いて解析した。 さらに申請者らは最近、cysteine proteaseであるCalpain7とESCRTタンパク質との相互作用を網羅的に解析し、CHMPファミリーがCalpain7と相互作用することを酵母two-hybrid法およびpull-down法により見出した。現在、Calpain7の基質候補を酵母two-hybrid screeningにより探索し、エンドソーム経路で機能するCalpain7の基質の同定を試みている。
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