Research Abstract |
本研究は,幼児期における関係性攻撃(仲間外れ,無視など)の発達と,家族や仲間を含むさまざまな要因との関連を3年間にわたって縦断的に検討することにより,関係性攻撃の形成メカニズムを明らかにするものである。 縦断研究の第2年目にあたる本年度は,引き続き4つの幼稚園において,年中児336名(初年度年少児313名,継続の年中児287名,維持率91.7%)の保育者を対象とした質問紙調査を実施した。調査時期は,2006年7月と2007年3月の計2回であった。なお,2回目(3月)の調査用紙は,現在,回収中である。 以下,初年度1回目調査をTime1,2回目調査をTime2,2年度1回目調査をTime3と記述する。 主な結果としては, 1.関係性攻撃の安定性係数は,Time1とTime2の間がr=.74,Time1とTime3の間がr=.16,Time2とTime3の間がr=.14であった。一方,身体的攻撃の安定性係数は,Time1とTime2の間がr=.70,Time1とTime3の間がr=.17,Time2とTime3の問が7=-.04であった。 2.関係性被害の安定性係数は,Time1とTime2の問がr=.74,Time1とTime3の間が7=.16,Time2とTime3の問がr=.16であった。一方,身体的攻撃の安定性係数は,Time1とTime2の間がr=.87,Time1とTime3の問がr=.28,Time2とTime3の間がr=-27であった。 3.関係性攻撃と身体的攻撃の相関係数は,Time1ではr=.79,Time2では7=.78,Time3では7=.66であり,両者の関連は徐々に小さくなった。 4.Time1の社会的スキルとTime2の関係性攻撃の相関係数を求めたところ,規律性スキル,友情形成スキル,主張性スキルの順に,r=-.27(p<.001),r=.01(n.sの,r=.01(n.s)であった。一方,Time1の社会的スキルとTime2の身体的攻撃の相関係数を求めたところ,規律性スキル,友情形成スキル,主張性スキルの順に,r=-.49(p<.001),r=.16(p<.001),r=.16(p<.001)であった。これらの結果は,先行研究(磯部,2005)と一致しており,関係性攻撃の高さは規律性スキルの低さと関連するが,身体的攻撃の高さは全てのスキルの低さと関連することを確証するものである。
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