2007 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ種子発芽の温度による調節に関わる植物ホルモン作用の解析
Project/Area Number |
05J07904
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤 茂雄 Meiji University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 高温阻害 / 発芽 / アブシジン酸 / ジベレリン / 相互作用 |
Research Abstract |
温度は種子発芽の季節を決定する主要な環境シグナルである。冬型一年性草本であるシロイヌナズナの種子発芽は吸水時の高温で抑制される(高温阻害)。種子の発芽は植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)とジベレリン(GA)のバランスによって調節されている。私は、シロイヌナズナ種子の高温阻害には吸水後の新たなABA合成の促進とGA合成の抑制が重要であることを明らかにした。そこで、種子発芽の高温阻害におけるABAとGAの相互作用を明らかにすることを目的として解析を行った。ABA合成阻害剤で処理した野生型種子、およびABA欠損突然変異であるaba2-1種子の高温条件における発芽は、GA合成阻害剤によってほぼ完全に抑制された。また、この発芽抑制はGA_3によって解除されたことから、高温阻害条件におけるGA合成はABAを介して抑制されている可能性が考えられた。ABA欠損突然変異種子では、GA3ox1およびGA3ox2遺伝子の発現が高温で抑制されず、また常温で吸水した野生型種子よりも高い発現が認められた。ABA欠損突然変異種子におけるGA20ox2およびGA20ox3遺伝子の発現は高温でやや抑制されたが、野生型種子よりも高い発現を示した。したがって、高温阻害条件において、GA3ox遺伝子の発現はABAによって抑制され、GA20ox遺伝子の発現はABAと高温によって誘導される他の因子の両者によって抑制されると考えられた。ABA欠損突然変異種子では、GAシグナリングの抑制因子であるSPY遺伝子の高温による発現上昇が認められなかった。したがって、高温阻害条件におけるSPY遺伝子の発現は、ABAによって調節されると考えられた。シロイヌナズナ種子において、GAの合成とGAシグナリングはいずれも高温により合成されたABAによって抑制され、発芽の高温阻害をもたらすと考えられた。
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Research Products
(5 results)