2005 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ種子発芽の温度による調節に関わる植物ホルモン作用の解析
Project/Area Number |
05J07904
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤 茂雄 明治大学, 大学院・農学研究科, DC1
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Keywords | 高温発芽阻害 / アブシジン酸 / ジベレリン / 発芽 / 種子 |
Research Abstract |
発芽の高温阻害におけるNCED遺伝子の生理機能 NCED遺伝子は、ABA合成の律速段階を担うエポキシカロテノイド酸化解裂酵素をコードし、シロイヌナズナには5つの遺伝子が存在する。このうち、乾燥によるABA合成にNCED3遺伝子が働くことが示されているが、その他の4つの遺伝子の生理的な機能は明らかにされていない。そこで、高温による発芽阻害(高温阻害)におけるNCED遺伝子の役割を明らかにするため、NCED遺伝子の機能喪失突然変異体種子の発芽を調べた。その結果、NCED9遺伝子にT-DNA挿入変異を持つ種子は高温阻害条件で高い発芽率を示した。また、NCED2およびNCED5のT-DNA挿入突然変異体の種子も、弱いながら高温阻害に耐性を示した。これら機能喪失突然変異体の高温阻害耐性の度合いと、高温条件における遺伝子の発現量には相関関係が認められた。以上の結果から、種子における高温に応答したABA合成の促進には、これまで生理機能が示されていなかったNCED2,NCED5とともに、NCED9が主要な働きを持つことを明らかにした。 高温によるABAシグナリングの制御 ABA情報伝達の2次メッセンジャーであるIP3の分解酵素遺伝子、FRY1の発現を定量的RT-PCR法により解析した結果、常温で発芽する際には発現が顕著に誘導され、高温阻害条件ではその発現が強く抑制されることを明らかにした。また、FRY1の機能喪失突然変異体の種子は、野生型の発芽が抑制されない温度(28℃)において発芽が強く抑制された。このことから、吸水時の高温はABAの合成を誘導すると同時に、ABAの情報伝達を負に制御するFRY1の発現を抑制することにより、ABAの作用を高めていることを明らかにした。
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