2005 Fiscal Year Annual Research Report
問題や否定的な思考から距離をおくスキルの適応的機能に関する認知臨床心理学的研究
Project/Area Number |
05J07939
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉浦 知子 信州大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 認知行動療法 / 心理測定 / マインドフルネス / 森田療法 / 強迫症状 / 抑うつ / ストレス対処 / 多変量解析 |
Research Abstract |
近年の認知行動療法で注目される,問題や否定的な思考から距離をおくスキルの作用機序を解明するためには,妥当性の高い測定法の開発が必要である.平成17年度はアセスメント開発を中心に行った.距離をおくスキルは多様な内容を含み,さまざまな理論的背景からの議論がなされているため,多面的な検討を行った. 1.森田療法における病理化および治療過程に関する要因の測定 森田理論で神経症の素因とされる「とらわれ」や,治療的要因とされる「あるがまま」の測定尺度の心理測定的性質を検討した.その結果,いずれの尺度も一定の妥当性があるものの,症状の予測力を高める工夫がさらに必要なことが示唆された(信州大学人文科学論集<人間情報学科編>で印刷中.なお執筆資格の関係で第2著者であるが,研究の中心は報告者による). 2.距離をおけない状態(強迫的信念)の検討 問題や否定的な思考にこだわってしまう態度として,強迫的信念の検討を行った.その結果,過剰な責任を感じる傾向は,ストレスがあったときに,もともと強迫的な人の症状を悪化させる可能性が示唆された(1st Asian Cognitive Behaviour Therapy Conferenceにて発表予定).次年度以降の研究では,強迫的信念と距離をおくスキルとの関係を検討する予定である. 3.その他 距離をおくスキルと関連する変数として,情動制御や心理的適応にかかわる幅広い変数の測定を行った.その一部(抑うつ的認知と距離をおくスキルの関係)はInternational Congress of Cognitive Psychotherapy (Goteborg, Sweden)にて発表した(手続きの関係から第2著者であるが,研究の中心は報告者による).また,認知行動療法における距離をおけるスキルについてのレヴューを行った(1st Asian Cognitive Behaviour Therapy Conferenceにて発表予定).
|
Research Products
(3 results)