2007 Fiscal Year Annual Research Report
問題や否定的な思考から距離をおくスキルの適応的機能に関する認知臨床心理学的研究
Project/Area Number |
05J07939
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉浦 知子 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 知子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 認知行動療法 / メタ認知 / 注意のコントロール / マインドフルネス / 心配 / 心理的介入 / 媒介要因 / 問題解決 |
Research Abstract |
本研究では,近年の認知行動療法で注目される,問題や否定的な思考から距離をおくスキルの作用機序を解明することを目的とした.平成19年度は,距離をおくスキルを涵養するような介入に関して理論的・実証的な検討を行った. 1.理論的研究 距離をおく介入に関する理論的研究を行い,その背景にあるメタ認知の機能や,神経基盤について明らかにした.その結果,距離をおくスキルを高めるためには,注意のコントロールの向上が重要であり,これを促進する方法であれば,多様なものが有効であるという仮説的モデルを構成した.この内容は「メタ認知:学習力を支える高次認知機能(北大路書房)」で印刷中である.また,日本心理学会のワークショップ「マインドフルネスとは何か?なぜ注目されるのか?」でも発表した. 2.距離をおくことと基礎的な認知プロセスとの関連 介入を行う前提として,標記の理論モデルの妥当性を確認した.距離をおくスキルの尺度が記憶や注意のコントロールを反映する変数,さらに適応的な問題解決や不適応な方略の減少を反映する変数と相関がみられることを明らかにした(World Congress of Behaviour and Cognitive Therapies 2007,投稿準備中). 3.距離をおくことを促進する介入研究 中性刺激を用いて注意のコントロールを向上させる介入を心配性傾向の強い健常者に行ったところ,(1)注意のコントロールの向上,(2)否定的な思考から距離をおくスキルの向上,(3)心配性傾向の低下,がみられることを確認した(日本心理学会のワークショップ[同上]で発表). なお研究発表で第2共著になっているが,報告者は第1著者と同等あるいはそれ以上の貢献をしている.
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Research Products
(3 results)