2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠塚 一貴 慶應義塾大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 魚類 / キンギョ / 視覚的認知 / cytochrome oxidase |
Research Abstract |
本研究は、キンギョにおける脳内cytochrome oxidase活性を測定することで、他個体の視覚的認知に関わる神経機構を同定することを目的とした。実験1では、キンギョの単眼の網膜を外科的に除去した。損傷の4〜8週間後、被験体を灌流固定し、脳切片を作成した。切片をcytochrome oxidase染色し、顕微測光装置(P101,Nikon)によって活性を測定した。測定領域は終脳背側野外側部の外側部(dDl)、視蓋(OT)、nucleus isthmi(NI)、horizontal commissure(HC)とした。各領域の左右半球の測定値の比を算出し、HCを基準として比較した。その結果、dDl、OT、NIのいずれにおいても損傷眼の対側において有意な活性の低下が認められた。網膜からの入力を一次的に受けるOTだけでなく、終脳や視覚的注意に関わるとされるNIにおいても効果が見られたことから、この手法により魚類視覚系の活性を測定可能なことが確認された。 実験2では他個体の単眼提示の効果を検討した。水をはった60cm水槽内に透明なプラスチック水槽を3つ並べ、中央の水槽に被験体を入れて24時間隔離した。その後、被験体を透明な角型アクリルチューブ内に固定し、左右どちらかの水槽に他個体を入れた。3時間の提示の後、被験体を灌流固定し、実験1と同様に染色・測定を行った。その結果、dDl、OT、NIのいずれにおいても左右半球の活性に差は認められなかった。より広範囲にわたる測定のほか、短時間の提示でも鋭敏に検出できる手法(c-fos等)の採用が必要と考えられる。
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