2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠塚 一貴 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 魚類 / 視覚 / cytochrome oxidase / 終脳 / 視蓋 |
Research Abstract |
昨年産に引き続き、キンギョを被験体として魚類の視覚に関わる脳領域のcytochrome oxidase (C.O.)活性を指標とした実験を実施した。終脳背側野外側部の背側部分(Dld)が視覚情報の入力を受けることは先行研究や昨年度実施した実験から明らかであるが、その経路は不明であった。神経連絡研究からは、網膜から視蓋を経て終脳に到達する系と、視蓋を経ずに視床から直接的に終脳に至る系の2つが提唱されているが、近年では前者の経路が優勢であると考えられている。これを機能的な面から確認するため、本研究では片側視蓋損傷を行った後に視覚入力領域であるDldと中脳のisthmi核(NI)のC.O.活性を測定した。視覚情報が視蓋を経てDldに入力されるのであれば、片側視蓋の損傷によって同側DldのC.O.活性の低下が予測される。結果、視蓋と相互的な連絡を持つNIでは損傷の同側でC.O.活性の低下が認められた。一方、DldではC.O.活性の左右差は認められなかった。したがって、DldのC.O.活性は網膜の有無に依存するが、視蓋の有無には依存しないことが明らかとなり、視蓋を経ずにDldに到達する視覚経路が存在することが示唆された。ただし、Dldには視覚以外の感覚情報も入力されることから、平時は視蓋によって抑制されているほかの感覚情報が視蓋の損傷によって脱抑制され、視覚情報の欠落によるDldのC.O.活性の低下を補償した可能性もありうる。これは今後の検討課題である。
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Research Products
(2 results)