Research Abstract |
近年,高速光LAN・アクセス網の構築において,ランダムアクセス性・高秘匿性を有し,システムの低コスト化が可能な光符号分割多元接続(CDMA)方式が注目されている.光CDMAは,各ユーザが拡散符号に従ってパルスを符号化することで多元接続を実現する方式であり,一般に,符号化方式としては,時間符号化と波長位相符号化がある.光CDMAでは,拡散符号の相互相関特性に起因して生じる多元接続干渉(MAI)がビット誤り率(BEP)を劣化させる問題がある.さらに,今後のネットワークにおけるマルチメディア化に伴い,高効率なマルチレート・マルチBEP光CDMAシステムの構築が求められる.そこでまず,二段階時間符号化光CDMAシステムにおけるMAIの影響を緩和させるために,複数強度の光信号を送信する方式との併用を提案し,理論解析の結果,提案方式は従来方式と比較して,BEP特性を改善できることを示した.また,直交可変拡散率(OVSF)符号系列を用いたマルチレート波長位相符号化光CDMAシステムを提案し,理論解析の結果,多種のマルチメディアサービスクラスの明確な差別化が可能とともに,従来の単一レートのシステムと比較して,高伝送レートユーザの光ビート雑音の影響を緩和しBEPを改善できることを示した.一方,近年,ファイバの敷設が困難な場所における光空間伝送CDMA方式が注目されている.光空間伝送CDMAでは,MAIに加え,シンチレーションがBEP特性を著しく劣化させてしまう.そこで,各スロット内の最小出力値を検出し,その後,スロットの数だけある最小出力値同士を比較し,最も大きい出力値を送信スロットとするシンボル判定法を提案した.理論解析の結果,提案方式は,従来方式と比較して,MAIとシンチレーションの両影響を緩和し,BER特性を改善できることを示した.
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