2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルマトリクスと分子認識を利用した結晶のデザインに関する研究
Project/Area Number |
05J08117
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
緒明 佑哉 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機無機ナノ複合体 / ナノ結晶 / 結晶成長 / 高分子ゲル / バイオミネラル / バイオミネラリゼーション / 階層構造 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究は、骨、歯、貝殻などに代表されるような生物の作製する無機材料(バイオミネラル)に倣い、常温・常圧付近における次世代型の材料合成プロセスの発展を目指して行われた。その成果は大きく以下の2点に分けられる。 (1)バイオミネラルのナノ構造の解明 これまでにも貝殻などのバイオミネラルの構造や形態に関する研究は多く行われていたが、いずれも巨視的なスケールにおけるものであった。本研究においては、炭酸カルシウムから構成される典型的なバイオミネラルの構造解析を、特にナノスケールの構造に着目して行った。観察の結果、いずれのバイオミネラルも、これまで知られてはいなかった、大きさ数十ナノメートルの結晶と生体高分子から構成された、有機無機ナノ複合材料であることを明らかにした。 (2)バイオミネラルの構造類似体の作製 前述の結果より、バイオミネラルはナノスケールからマクロスケールにわたり階層的に制御された構造体であることが明らかとなった。そこで、本研究においては、高分子マトリクスと有機分子による分子認識を結晶成長へ活用し、温和な水溶液中の環境において構造類似体を作製することを試みた。高分子と無機結晶の相互作用を有効に活用することで、いくつかの材料において階層的に制御された有機無機複合材料を作製することに成功した。また、これらの結果より、本研究で用いていない様々な材料においても同様のアプローチが適用できることが示唆される。 以上の2点のように、これまで着目されていなかったバイオミネラルのナノスケールの構造を解明し、それに倣った材料合成の一例を提示することができ、次年度のさらなる展開が期待できる。
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