2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08121
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植田 晃然 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低酸素 / 血管新生 / コラーゲン / 生体外 / 3次元 / 内皮細胞 / 共焦点 / bFGF |
Research Abstract |
血管の形成は,すべての組織の形成・機能維持に不可欠であり,再生医学の展開においても重要な課題である.3次元的な臓器において,酸素や栄養分の輸送が拡散のみでは十分に行われず,組織内に血管ネットワークが3次元的に組み込まれることが望まれる. しかしながら3次元的なin vitroネットワークの制御因子の解明はほとんど行われていない.従来から低酸素状態が血管新生において重要な役割を果たしていることが知られてきたが,その詳細なメカニズムについては分かっておらず,そのメカニズムを解明することは血管新生の制御を考える上で不可欠である.そこで,本研究では,低酸素状態による内皮細胞への影響と,その結果として内皮細胞の3次元的なネットワーク形成能にどのような影響があるのかを調べることを目的として実験を行った. コラーゲンゲル上に内皮細胞を播種したモデルを,低酸素(5% O_2)および常酸素(21% O_2)の環境下で培養して,3次元ネットワークの成長を観察した.また,7日目には共焦点レーザ顕微鏡を用いて,その3次元的な形態を比較した.さらに,増殖因子に対する反応性や,培養液内へのネットワーク形成促進因子の放出なども調べた.最後に,mRNA発現の違いについても調べた. その結果,内皮細胞に低酸素を負荷することで,生体外において,3次元的なネットワークが誘導された.その原因としては,低酸素によって,多くの因子のmRNA発現が活発になり,内皮細胞の増殖因子に対する反応性が高まることや,内皮細胞がネットワーク誘導因子を分泌していることが考えられた.
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