Research Abstract |
本研究は,モバイル機器によって集められた都市の来外者の行動履歴を用い,新たな来外者に対する行き先の推薦情報を提供することを目的とする. 18年度は,研究計画に基づき,東京秋葉原電気街の実際の街中で利用する試作システムを開発・運用を行った.試作システム「ここHORE」は,商業地の店頭に設置するQRコードと,携帯電話上で動作するウェブサービスから成る.利用者は,興味深いスポットを訪れた際に,QRコードを自らの携帯電話で撮影することで,来訪の記録にコメントを付けて残すことができる.スポットの来訪記録が複数集まるとルートを形成する.ルートは,地図上に表示を行うことが可能である.また,自らのルートの内容,題名,コメント,タグ等を,携帯電話を用いて編集可能である.編集したルートは公開できる.他の利用者の公開しているルートは,最後に訪れたスポットを含むからの検索,キーワード検索,タグ検索等を用いて検索し,閲覧することができる. 12月16日〜26日の10日間に渡り,電気街で運用実験を行った.実験の目的は,試作システムを用いることによる来外者の街への認識の変化を検証することと,システムのユーザビリティの評価である.参加店舗は42店舗,被験者は20-31歳の31人で,年齢は20-31歳であった.まず街の認識に対しては,試作システムは街の空間構造の把握に寄与し,街への親しみを増し,新たなスポットの発見に貢献することが明らかとなった.これは主にルート閲覧,ルート検索といった機能によるものである.ユーザビリティに関しては,地図表示について,情報の精度や,画面サイズ等の問題から評価が低かった.他の機能は概ね問題なく利用が可能であった. 運用実験の結果より,19年度は主に情報提示のインタフェースの改善に取り組む.
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