2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織における散乱現象の解析と光脳機能イメージングに関する研究
Project/Area Number |
05J08134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川口 拓之 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近赤外分光法 / 脳機能計測 / 仮想空間 / 光伝播解析 / ファントム / 画像再構築法 |
Research Abstract |
本研究課題は,近赤外分光法の原理によりヒト脳機能を画像化する光脳機能トポグラフィーに関するものである.光脳機能トポグラフィーでは生体組織によって多重散乱されて広い領域を伝播した光を検出して脳機能活動の画像再構築を行っているため,詳細な脳機能計測を目的とした場合には空間分解能が不十分であると指摘されている.空間分解能を改善するために,頭部に装着するファイバ・プローブの配置の最適化や新しい画像再構築法について研究を行っている.これらの提案手法は,ファントム(模擬生体)を用いて評価が行われるが,一般的なファントムは頭部組織の構造を厚さが均一な多層平行平板などに簡単化したもので,詳細な評価を行うことができない.そこで本年度は,光脳機能トポグラフィーにおける画像再構築法やファイバ配置の評価をより実測に即した条件下で行うために,頭部組織の解剖学的構造を忠実に模擬したバーチャル頭部ファントムを仮想空間上に構築した.バーチャル頭部ファントムの構造情報は成人頭部のT1強調MRI画像を光学特性の異なる頭皮,頭蓋骨,クモ膜下腔(脳脊髄液),灰白質,白質に領域分割することにより得た.また,構築したバーチャル頭部ファントムを用いて光脳機能トポグラフィーの再現性に関する検討を行った.従来の標準密度ファイバ配置と画像再構築法を用いた計測では,同一の脳活動を捉えているにも関わらず,頭皮上でのファイバ・プローブの装着位置の微小な差異により大きく異なった画像が得られることが分かった.一方,倍密度配置と著者らが提案する探測領域の空間分布を先験情報とした画像再構築法を用いて同様の計測を行った場合には,頭皮上のファイバ・プローブの装着位置に関わらず,ほぼ同等な画像が得られ,その有効性が示された.また,頭皮や頭蓋骨といった表層組織の局所的な厚さの違いが再構築画像中の脳活動部位の位置に影響を及ぼしていることが分かった.
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Research Products
(1 results)