2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚性幹細胞を用いた中枢神経系の再生医療のための基礎的研究
Project/Area Number |
05J08150
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲 勇人 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒト胚性幹細胞 / 神経発生 / 神経幹細胞 / 再生 / 時間特異性 |
Research Abstract |
1、「目的」 神経ネットワークは、特定の時期に特定の揚所で時間・領域特異的なニューロンが厳密な制御の上で発生してくる事によって形成される。そのためには神経幹細胞の分化能が発生の進行に伴って変化することが重要である。この分子機構の解明は、神経発生の理解だけでなく再生医療や薬剤開発などにも有用な知見になると考えられるため、マウスおよびヒト神経幹細胞の分化能の時間的変化を制御する分子機構の解明を目的とした。 2、「1年間の成果」 初年度に同定した神経幹細胞の分化能の時期特異性に関与する遺伝子の分子メカニズムの解析を行った。この遺伝子をKnockdownするshRNAをレンチウイルスベクターで発現させ、遺伝子の発現を抑制した神経幹細胞の遺伝子発現プロファイルをコントロールの神経幹細胞とDNAマイクロアレイにより比較した。その結果、ほとんどの遺伝子の発現は時間とともにコントロール同様にその発現量を変化させており、またNeurogenesisやGliogenesisに関与すると報告のある既存の遺伝子の発現量に変化が見られなかったことから、未知のメカニズムによって神経幹細胞の分化能の時間特異性は制御されていることが示唆された。 これまでの結果から、この遺伝子は神経幹細胞の正常な時間特異性の獲得に必要であり、特に、LIFやBMPといったGliogenicなCytokineに応答できるようになるGliogenic competenceの獲得に重要であるということを示すことができたため、これまでの成果をまとめて論文として現在投稿中である。近年グリアが中枢神経系の再生に重要であることが示唆されつつあるにもかかわらず、ヒトES細胞やヒトiPS細胞由来の神経幹細胞はグリアへの分化能が低いことが分かってきているので、再生医療実現のためにも更なるメカニズムの解明が重要であると思われる。
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