2005 Fiscal Year Annual Research Report
乱れと電子間相互作用の共存する系での電気伝導現象の数値計算
Project/Area Number |
05J08250
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅田 洋一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電気伝導 / 不規則電子系 / 電子間相互作用 / ハートリー・フォック近似 / コンダクタンス |
Research Abstract |
当初の研究計画に沿って、乱れと電子間相互作用の共存する系での電気伝導現象を研究するための数値計算手法の開発を行った。端子の付いた系に対するハートリー・フォック方程式を解く手法を開発し、数値計算を行うためのプログラムを作成した。これにより、相関電子系でのランダウアー・コンダクタンスを効率的に計算することが可能になった。この手法を我々はワイドバンド法と呼んでいる。計算時間の短縮のための工夫がなされており、不規則電子系の多サンプルのシミュレーションに適している。 本年度は、さらに、この手法を電子間相互作用のある1次元系と2次元系に適用し、ランダウアー・コンダクタンスの計算を行った。単純のため不規則ポテンシャルは考えなかった。解析的にも解ける系のシミュレーションから、ワイドバンド法を用いて正しいコンダクタンスの値が得られることを確認した。また、1次元系では、他の計算手法で発見された長さに依存したコンダクタンスの振動が再現された。2つの相互作用領域が有限の長さの非相互作用領域を挟んで連なっている系の伝導現象の研究も行い、コンダクタンスとフリーデル振動との関連について考察した。 乱れと電子間相互作用の共存する系を理解する上では、コンダクタンスの解析と共に、エネルギー準位統計、局所状態密度の解析も有用であると考えられる。本年度は、スピン軌道相互作用系での金属絶縁体転移におけるこれらの物理量の振る舞いについて研究した。コンダクタンス統計とエネルギー準位統計の解析から、スピン軌道相互作用系では2次元未満であっても金属絶縁体転移が起こることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(1 results)