2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分解X線スペクトルを用いた超新星残骸の研究とX線偏光計の開発
Project/Area Number |
05J08255
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植野 優 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超新星残骸 / X線観測 / 宇宙線加速 / X線偏光 / 気球実験 |
Research Abstract |
超新星残骸での粒子加速の定量評価を行うために、ASCA衛星によって銀河面から発見された超新星残骸や古い超新星残骸のX線解析を行った。まず、G344.7-0.1からはASCAによる観測で中性のK殻鉄輝線を検出した。この輝線はシンクロトロンX線放射を伴う超新星残骸RCW86からも検出されているもので、高エネルギーの粒子加速を示唆する。また、G156.2+5.7は中心部と北西部からハードX線が検出されている古い超新星残骸であるが、空間分解能の高いXMM衛星で追観測を行い、北西部のハードX線は点源起源であること、中心部のハードX線は真に広がっていることを明らかにした。中心部のハードX線がシンクロトロン放射であれば、超新星残骸において今まで考えられていたよりも長い時間スケールで加速が行われることを示す。よって、その放射起源を明らかにするため、感度の高いすざく衛星での観測を提案した。提案が無事受理されたため、観測され次第、解析を行う予定である。 これと平行して、次期観測装置の開発も行った。気球で観測を行う硬X線偏光検出器PoGOのプロトタイプを製作し、その性能評価を行った。PoGOは217ユニットの井戸型の検出器から成るが、今回は最小構成要素である7ユニットのプロトタイプを作成した。高エネルギー加速器機構の放射光施設でビーム試験を行い、波形弁別による低バックグラウンド化のアイデアが実際に機能していることを確認するとともに、モンテカルロ・シミュレーションで期待される偏光検出能力が実際に得られることを確認した。この結果は近いうちにNuclear Instruments and Methods in Physics Research紙に投稿する予定である。
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Research Products
(3 results)