2005 Fiscal Year Annual Research Report
マントル最下部構成鉱物の圧力-体積-温度状態方程式の確立
Project/Area Number |
05J08265
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒林 鉄也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地球深部 / 高温高圧 / 放射光 / 鉱物 |
Research Abstract |
高輝度放射光施設SPring-8(兵庫県)のビームラインBL10XUへ設置した抵抗加熱(外熱)式ダイアモンドアンビルセル(DAC)を用いて、マントル最下部構成鉱物の相関係、および物性を測定した。 1.CaSiO_3組成のペロブスカイトの相転移温度圧力境界を決定した。出発物質にCaSiO_3組成のガラスを用い、DACに封入した。高圧下(30-70GPa)でレーザー加熱によりCaSiO_3ペロブスカイトをいったん合成し、抵抗加熱式DACにより高温高圧X線その場観察実験を行った。結果は、ペロブスカイトは30-80GPaにおいて、550-580Kでtetragonalからcubicに構造相転移した。この温度は従来の理論計算の予測(〜2000K)と大きく異なっており、マントルの構造を考える上で重要なデータである。現在、国際学会誌Earth and Planetary Science Lettersに投稿準備中。 2.MgSiO_3組成のポストペロブスカイト、ペロブスカイトの熱膨張率を測定した。出発物質にMgSiO_3組成のゲルを用い、DACに封入した。室温で110GPaまで加圧し、レーザー加熱によりMgSiO_3ポストペロブスカイトとペロブスカイトの両相を一つのセルの中で合成した。これにより、低圧相と高圧相の体積の同時測定、直接比較が可能である。抵抗加熱式DACにより、高温高圧X線その場観察実験を行い、800Kまでの両相の熱膨張率を測定した。その結果、ポストペロブスカイトはペロブスカイトに比べて、小さな熱膨張率を持つことがわかった。これは、MgSiO_3ポストペロブスカイトの高温物性としては、実験的に求められた最初のデータである。また、抵抗加熱式DACを用いたポストペロブスカイトに関する初めての実験でもある。非常に高圧が要求されるため技術的に困難であるが、今後もデータを追加していきたい。
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