2005 Fiscal Year Annual Research Report
結び目・3次元多様体の量子不変量が反映する幾何的・大域的性質について
Project/Area Number |
05J08274
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長郷 文和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | A-多項式 / character variety / Kauffman bracket skein module / 結び目 / 結び目群 / 表現 |
Research Abstract |
3次元多様体MのKauffman bracket skein module(以下,KBSM)とは,複素数体C上のローラン多項式環C[t, t^<-1>]を係数環とする,M内の枠付き絡み目のイソトピー類が生成する無限次元加群に,Kauffman bracket skein relationを導入した商加群である.Bullock氏によるKBSMと基本群の指標環との関連付けは,現在,結び目の量子不変量を研究する上で重要な手法の一つであるが,これとは別に,本研究において,ハンドル体のKBSMはLie環so(N)構造を局所的に許容することが研究代表者により示された.ここで,結び目外部空間のKBSMがハンドル体のKBSMの商空間として表されることに注意すると,ハンドル体のKBSMをLie環so(N)に対応する部分加群に退化させることで,結び目外部空間のKBSMを退化させた対象は,結び目外部空間の性質をうまく捉えていることが期待される.実際,この退化したKBSMは結び目不変量になることがわかった.この不変量を結び目の2nd reduced character variety(以下,2-RCV)と呼ぶことにする.2-RCVはある種の代数多様体であり,2-RCVが0次元となるようなmeridional boundary slopeを持たない結び目に対して,2-RCVの既約成分の個数は,結び目群の既約metabelian表現の共役類の個数,そして,A-多項式のLに関する最高次数の上限を与えることが分った.この結果を受けて,2橋結び目に対しては,結び目群の既約metabelian表現の共役類の個数は,A-多項式のLに関する最高次数の上限を与え,その最高次数は,既約metabelian表現の共役類で,射影によって潰れない既約成分に含まれるものの個数であることも示すことが出来る(=既約metabelian表現による2橋結び目のA-多項式のLに関する最高次数の表現論的な意味付け).最後に,上記2-RCVの研究から,組み紐群の非線形Magnus表現の量子化が導かれることにも触れておく.
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Research Products
(1 results)