2006 Fiscal Year Annual Research Report
結び目・3次元多様体の量子不変量が反映する幾何的・大域的性質について
Project/Area Number |
05J08274
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長郷 文和 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | character varieties / 結び目群 / SL(2,C)表現 / Kauffman bracket skein module / metabelian表現 / abelian knot contact homology |
Research Abstract |
KBSMは視覚的な研究対象であるため,研究者に直感的なアイデアをもたらしてくれる反面,『非加算無限の複雑さの排除』という工程が回避できなくなる短所を持つことが,今までの研究を困難にする原因の一つであった.そこで本年度は,KBSMを僅かに変形することで,その情報量を加算無限にまで抑え,そこから指標多様体S_0(K)への応用を試みた.まず,結び目群G(K)の指標多様体のある断面S_0(K)は代数多様体になるが,その定義多項式として現れる代数方程式のうち,t=-1におけるKBSMで,ループの局所手術に対応するものだけを取り出し,新たに抽象的な代数多様体F(K)を構成する(S_0(K)の組合せモデル).ここでF(K)はその幾何構造から,代数多様体のchain F(K)=F^<(3)>(K)一→F^<(2)>(K)一→F^<(1)>(K)={*} を誘導し,得られたF^<(d)>(d=1,2,3)は結び目の不変量になることがわかる.F^<(1)>(K)は,常に一点から成る自明な不変量であり,F(K)は,表現を経由せずに計算機上でS_0(K)の評価を可能にする貴重な不変量であるということが,本年度の前半までに得られた成果である.更にF^<(2)>(K)は,その双対空間(座標環)が,実3次元Euclid空間の結び目に付随したcontact構造から定義されるホモロジー群abelian knot contact homologyと同型になることが,本年度後半の研究で明らかになった. このように,代数多様体族{F^<(d)>(K)}_dは様々な様相を示す非常に興味深い研究対象であり,この研究の深化は重要であると思われる.
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Research Products
(3 results)