2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本整備をめぐるガバナンス構造の合理化に向けたゲーム理論的研究
Project/Area Number |
05J08279
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 潤也 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 講師
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Keywords | ガバナンス / 需要予測 / プリンシパル=エージェント / 社会資本整備 / 契約理論 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究では,社会資本整備をめぐるガバナンス構造についてゲーム理論の視点から分析し,新たな制度設計に向けての提言を行うことを目的としている.社会資本整備のガバナンス構造には多様な主体と制度が関わってくる.社会的に望ましいガバナンス構造のあり方を考える場合には,それぞれの主体と制度の長短を見極めたうえで適切に組み合わせていく必要がある. 今年度は,3年計画の1年目であり,需要予測に対する社会的信頼を回復するための制度設計に関する研究に取り組んだ.従来提案されてきた監査制度のほかに,事業反対派住民が独自に行う需要予測結果とのチェック・アンド・バランスを活用した制度を提案した.さらに,その有効性についてゲーム理論の枠組みを用いて比較検討した.分析結果から,チェック・アンド・バランス制度は需要予測の検証に要する費用を節約する点で監査制度より有益であるが,社会的に不要なコンフリクトを発生させる危険性がある点で限界を抱えており,両者の大小関係によって監査制度との優劣が変化することが明らかになった.また,チェック・アンド・バランス制度がより有効に機能するには,複数の予測結果から一つの予測結果を選び出す手続きについて事前に合意しておくことが必要であることも明らかになった. チェック・アンド・バランス制度は需要予測に対する信頼回復のみならず,事業実施の是非に関する合意形成などの場面でも有効であり,次年度以降はさらなる検討を加えていく予定である.
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Research Products
(1 results)