2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境・生体試料分析のための次世代超高感度プラズマ質量分析装置の開発
Project/Area Number |
05J08287
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮原 秀一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微量元素分析 / 誘導結合プラズマ / 原子発光分析 / 質量分析 / ヘリウムICP / 試料導入法 / ドロップレット試料導入 / パルス駆動ICP |
Research Abstract |
誘導結合プラズマ(ICP)を励起・イオン源として用いるICP-AES/MS分析法は,多元素同時分析が可能な上,非常に優れた分析感度を有するため,微量元素分析の分野では最強の分析ツールの一つとして重宝されている。しかしながら,ICP分析法は試料溶液の消費量が約1mL/minと多いため,メタロミクスなどで要求が高まっている,細胞1個に含まれる元素を分析するといった,微少量試料の分析には適していなかった。 試料消費量の低減を目的としたドロップレットネブライザを開発した。このネブライザは,液体の試料を従来のように噴霧するのではなく1粒ずつ液滴状にして噴出する。液滴の体積は精密に制御でき,かつ電気的に任意のタイミングで噴出する事が可能である。これにより、一回の分析に供する試料消費量を0.7nLまで低減することが可能になった。 ICP中に導入される試料の絶対量が減少することによる感度の低下を補うため,分析特性の優れた高温・高密度なプラズマを生成することを目的として,約700Wの低電力でプラズマを維持し,短時間だけ2倍以上の高出力を印加するパルス動作ICPを製作した。この方法によって,ピークパワーを増加させても冷却ガスを増加させずにトーチの熱負荷を抑えることが可能となり,最大3kWの高出力運転を実現した。 さらに、上述した二つを組み合わせ、ドロップレットネブライザの液滴噴出タイミングと,高出力パルスICPの高出力印加タイミングを同期させることで,より一層の分析感度の向上を目指したドロッブレット試料導入パルス同期ICP分析システムを開発した。ドロップレットの噴出タイミングとICPへの高出力印加タイミングを同期させることより,非同期時と比較して元素固有の信号強度が約4.5倍に増加し、元素の検出下限値が従来法に比べ約10^6倍改善させることに成功した。 本研究の成果を国内外の学会で発表しなどの国際学会で発表を行い、Second Asia-Pacific WinterConference on Plasma Spectrochemistry Poster Award、分析化学討論会若手ポスター賞などを受賞した。
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