2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境・生体試料分析のための次世代超高感度プラズマ質量分析装置の開発
Project/Area Number |
05J08287
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮原 秀一 Tokyo Institute of Technology, 原子炉工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微量元素分析 / 誘導結合プラズマ / マイクロプラズマ / 質量分析 / 自励式高周波電源 / 試料導入法 / ドロップレット試料導入 / パルス駆動ICP |
Research Abstract |
誘導結合プラズマ(ICP)を励起・イオン源として用いるICP-AES/MS分析法を、細胞1個に含まれる元素を分析するといった、微少量試料の分析に適するよう、試料消費量を大幅に低減することを目的にドロップレットネブライザを昨年度開発した。このネブライザは、液体の試料を従来のように噴霧するのではなく1粒ずつ液滴状にして噴出しICPに導入するものであるが、液滴がプラズマに入った瞬間、プラズマの温度や密度が急激に低下し、それに伴い感度が著しく低下する現象が観測されていた。 これは、プラズマ中に液滴が導入されることで、プラズマの電気伝導度が変化し、高周波電源とプラズマとのインピーダンス整合が乱され、その結果高周波電源からの電力供給が十分に行えなくなるのが原因であることを突き止めた。高周波電源とプラズマとのインピーダンス整合には、通常高周波整合回路が用いられるが、本実験のようにプラズマの状態が高速に変化する場合、通常の整合回路で追従することは不可能である。そこで、変化するプラズマのインピーダンスを高周波電源の発振周波数を決定する定数として帰還をかけ、常にインピーダンス整合が取れる周波数を供給する電源を開発し、こうした問題を回避することに成功した。加えて、本方式では従来不可能であった、出力をバースト状あるいはパルス状に変調する回路を考案開発し、特許申請中である。 一方、数pLオーダーの被測定試料をICPに導入した際、ICPの体積が大きく、導入されるプラズマガスも15L/min以上と多量であることから、試料がプラズマ全体に拡散し、有効に検出できない問題も明らかとなった。そこで申請者らは数μLの微小空間に、極少量、毎分数mLのプラズマガスを流しつつ、パルス状に40kW大電力を投入し、生成する高温のプラズマをICPの代わりとして微少量試料中の元素分析を行う装置をほぼ完成させた。 本研究の成果を国内外の学会で発表し、Colloquium Spectroscopicum Internationale XXXV Excellent Poster Award,07つくばセミナーイーブニングセミナーポスター賞(第1位)などを受賞した。
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