2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートルオーダー分子膜のレオロジー特性と油膜温度分布の関係
Project/Area Number |
05J08288
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八木 和行 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授
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Keywords | 弾性流体潤滑 / レオロジー / 油膜形状 / 光干渉法 / Raman / 圧力分布 |
Research Abstract |
本年度9月まではフランス共和国INSA de Lyonで,ガラス・鋼球間での滑り接触時に発生する特異油膜形状(ディンプル)のレオロジー特性を調べることを目的とし,圧力及び油膜厚さの測定を行った.圧力分布の測定は,Raman分光装置によって測定されるスペクトルの圧力依存性を利用して行った.油膜厚さの計測は,前年度に測定油膜厚さ領域の拡大を行った二色光干渉法に基づいた計測システムを用いた.その結果,滑り率が高くなると出現する特異油膜形状内では,局所的に圧力が上昇し,純転がり条件と比較して最高圧力が2倍近くにまで上昇することがわかった。 帰国後は,INSA de Lyon所有の実験装置で設定可能な運転条件より,さらに広い範囲での実験が可能となるよう,実験装置を設計,製作した.この実験装置は,ディスク,オールともに個々独立に回転制御できるようにし,実験温度も高精度に制御できる構造とした.油膜厚さの計測は顕微鏡を用いた光干渉法により行い,昨年度行ったアルコール潤滑下での実験で示したようなIN以下の微小摩擦力も測定可能とした. 今後の課題としては,本年度の研究対象としたガラス・鋼球間で発生するディンプルのような熱的な要因で発生するものについては「温度および圧力と固化・壁面滑りとの関係の解明」を行い,弾性流体潤滑条件での詳細なレオロジーマップを作成することが最初にあげられる.そして,ナノメートルオーダー厚さでの潤滑膜のようなせん断率が極めて高い条件でのレオロジー特性を測定し,ナノメートルスケールの現象である油膜破断などのメカニズム解明に役立てることが最終的な目標であると考えられる。
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Research Products
(5 results)