2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートルオーダー分子膜のレオロジー特性と油膜温度分布の関係
Project/Area Number |
05J08288
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八木 和行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 弾性流体潤滑 / レオロジー / 油膜形状 / 光干渉法 / Raman / 圧力分布 |
Research Abstract |
平成17年度はフランス共和国INSA de LyonのPhilippe Vergne主任研究員の下で定常条件での弾性流体潤滑膜(EHL)のレオロジー特性を調べるための実験を行った.実験には,既存のボールオンディスク型の実験装置を用い,油膜厚さ分布,油膜内の圧力分布,トラクション係数の測定を行った.圧力分布の測定は,Raman分光装置によって測定されるスペクトルの圧力依存性を利用して行い,油膜厚さの計測は,数nmまで測定可能な光干渉法に基づいた計測システムを用いて行った. 実験は,大きく分けて二種類の条件を設定して行った.一つは,単純な分子構造を持ち,表面との反応性の高い潤滑油としてアルコールの一種であるDodecanolを用い,ガラス・鋼球間での油膜厚さの計測を行った.その結果,以下のことが明らかとなった.純転がり条件では通常の油膜形状と同一のものであったが,二面間の滑りの増加にともない,油膜厚さが変化し,純転がり条件と比較して油膜が厚くなることが明らかとなった,また,その形状もこれまで計測されてきたものとは大きく異なることを明らかにした. もう一方の実験ではこれまで発見されてきたdimple内の圧力分布の測定をRaman分光測定機で行うため,その準備段階として,純転がり条件での圧力分布の測定を行った.その結果,EHL油膜内の圧力分布が平均圧力1GPa程度の圧力分布を分解能30MPa以下と高精度に計測できることが確認できた.また,dimple内の圧力分布は,純転がり条件よりも最高圧力が高く,圧力勾配も急となるので,最適な空間分解能の検討を行った.
|