2005 Fiscal Year Annual Research Report
QCDに基いたダイクォーク及びエキゾチック・ハドロンに関する研究
Project/Area Number |
05J08325
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯田 英明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハドロン物理 |
Research Abstract |
・格子量子色力学を用いた高温度領域におけるチャーモニウムの研究: チャーモニウムとは、チャームクォークと反チャームクォークの束縛状態であるが、そのうちのJ/ψと呼ばれる粒子は、非閉じ込め相転移の影響を受けやすく、相転移温度直上で消失するということが、80年代から提唱されてきた。近年、格子量子色力学と最大エントロピー法を組み合わせた研究から、相転移温度を過ぎても、すぐにはJ/ψが消失しないという結果がいくつかのグループによって言われている。我々は、チャーモニウムのエネルギーの境界条件(周期・反周期境界条件)に対する依存性を見ることにより、相転移温度以上でチャーモニウムがコンパクトな束縛状態か、それとも空間的に広がった散乱状態なのかを確かめた。束縛状態なら、チャーモニウムのエネルギーは境界条件に依存せず、散乱状態なら、その影響を受けると考えられる。計算の結果、S波のチャーモニウム、すなわちJ/ψ,η_cに関しては、相転移温度の2倍程度まで束縛状態として存在し、P波のチャーモニウム、すなわちχ_<cI>に関しては、相転移温度直上で消失することが分かった。このような方法によるチャーモニウムの束縛・散乱状態の研究は過去になく、新たな試みである。また、最大エントロピー法と、チャーモニウムのエネルギーの境界条件依存性を組み合わせた研究を行い、上記の研究と無矛盾な結果を得た。また、最大エントロピー法から得られたチャーモニウムのスペクトル関数には、高エネルギー領域に、格子理論に特有な、非物理的なダブラーの束縛状態と考えられる状態を見た。
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Research Products
(1 results)