2005 Fiscal Year Annual Research Report
超重力理論を用いた余剰次元模型におけるソリトンと超対称性の自発的破れ
Project/Area Number |
05J08341
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
衛藤 稔 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ソリトン |
Research Abstract |
今年度の私の研究は超対称性を持つゲージ理論におけるソリトンについて系統的に調べ上げた。特にゲージ対称性が完全に破れるような特別な相、以下ではヒッグス相と呼ぶ、におけるソリトンについて詳しく調べた。ヒッグス相における特徴的なソリトンはコディメンジョン1のソリトンであるドメインウォール(壁)コディメンジョン2のボーテックス(渦糸)がある。近年、これら2種類のソリトンが超対称性ゲージ理論の中で果たす物理的な役割が明らかにされつつあり、私の研究では特にこれらのソリトンのモジュライ空間と呼ばれる可能なソリトン解の全体からなる空間について詳しく調べた。特に、私の研究で独創的な点は、モジュライマトリックスと呼ばれる行列を用いて解空間全体を調べ上げたことであり、このモジュライマトリックスによってドメインウォールの解空間がグラスマン多様対全体と等しく、またボーテックスのモジュライ空間はこのグラスマン多様対へのホロモーフィック写像全体からなることを突き止めた。さらにこのモジュライマトリックスの観点からボーテックスとドメインウォールのモジュライ空間が次元縮小によって自然につながることを示した。また、ボーテックスのモジュライ空間は長紐理論により予想されていたが、これが正しいことを超対称ゲージ理論の立場から直接確かめることに成功した。 ボーテックスやドメインウォールの他に、ゲージ理論にはインスタントンやモノポールといった有名なソリトンが存在する。これらは通常ゲージ対称性が部分的に破れていない相に存在するが、これらをヒッグス相に入れると、凝縮系物理でよく知られたマイスナー効果により、それらから出る磁束はある一方向に絞られる。これらはモノポールとボーテックスの混合系と考えられるが、より一般的には、インスタントン、モノポール、ボーテックス、ドメインウォールの混合系が安定な状態で存在できることを示した。これらの混合系もモジュライマトリックスにより非常に自然に記述されることがわかり、そのモジュライ空間を明らかにすることに成功した。このほかにも、傾いたドメインウォールからなるドメインウォールネットワークの構成に成功し、特にそのジャンクションポイントには2種類のトポロジカルチャージが溜まることがわかった。一つは負の質量を持つ束縛エネルギーと考えられるが、もう一方は正の質量を持ち、これらは可積分系でよく知られたヒッチンシステムと密接に関係していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)