2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄・セリウム・ウランの同位体分別効果から読む地球表層環境の変遷
Project/Area Number |
05J08343
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 剛 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 同位体分別 / 酸化還元反応 / 遷移金属元素 / 希土類元素 / アクチニド元素 / 表層環境 / 抽出クロマトグラフィー / MC-ICP-MS |
Research Abstract |
本研究では、鉄・セリウム・ウランといった天然において酸化数が変化しうる元素の酸化還元反応における同位体分別に着目し、地球史を通した酸化還元環境の変遷を推定するための新たな研究手法の開発をめざしている。元素の同位体組成は、同位体間の物理的及び化学的違いに起因する同位体効果を反映して変動する。特に酸化還元反応が関与する際大きな同位体効果を示すことが知られており、これらの同位体効果を調べることにより、試料形成時の酸化還元環境や生物学的要因の寄与について知見が得られるものと考えている。鉄・セリウム・ウランは試料形成時の酸化還元環境を反映し、還元的な化学種(Fe(II),Ce(III),U(IV))と酸化的な化学種(Fe(III),Ce(IV),U(VI))をとる。これらの化学種間における同位体分別を検出するための高精度同位体分析法の開発が本研究の大きな目的である。今年度は天然試料から鉄・セリウム・ウランを回収する方法として陰イオン交換法(AGMP-1)と抽出クロマトグラフィー(U/TEVA, TRU, Ln Resin)を用いた天然における同位体分別を調べるための試料前処理法の開発を行った。この化学処理法によりマトリックス元素を効果的に分離することが可能となった。また同位体分析法として、多重検出器型ICP質量分析計(MC-ICPMS)を用い、高精度同位体分析を行うために質量差別効果補正法の開発を進めた。本研究で開発した分析法は2005年日本地球化学会(琉球大学、沖縄)にて発表を行った。現在、標準岩石試料を用いて分析法の評価を行っており、来年度に天然の堆積岩試料などの分析結果と合わせて発表を行っていく。
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