2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08377
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 理江 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガンマ線 / バースト |
Research Abstract |
1、HETE-2衛星によるGRB 020813のX線・ガンマ線放射の観測および解析 GRB 020813はHETE衛星によって2002年8月13日に検出された、非常に明るいガンマ線バーストである。私はHETE衛星に搭載されている広視野X線観測装置(WXM)とガンマ線観測装置(FREGATE)によって取得された広帯域(2-400keV)のデータを、時間分解して詳細に解析した。その結果、バースト初期の時間帯において、低いエネルギー側で非常に"硬い"スペクトルを示していることがわかった。このようなスペクトルを説明するモデルは、"synchrotron self-absorption"か"Comptonization"が有力視されてきたが、GRB020813のスペクトル解析において、いずれのモデルでも説明できないことを示した。 2、「世界最大級」大面積アバランシェフォトダイオードの開発、および性能評価 アバランシェフォトダイオード(APD)はコンパクトで、内部に100倍程度の増幅機能をもつSi半導体検出器であり、可視光に対する優れた感度と、数十光子レベルの低ノイズを同時にすることができる。APDは受光面積の小ささゆえに、おもに光通信におけるデジタルカウンタとして利用されてきた。我々は浜松ホトニクスと共同でAPD開発を行い、これまでで最大級の大きさとなる2cm角のAPD開発に成功した。APDの大型化にともない、(1)受光面の一様性、(2)容量性ノイズの増加が及ぼす影響、などが心配される。これに対して我々は、2cm角APDについての表面一様性が5%の範囲できわめてよく実現されることを示し、また常温においては容量ノイズの寄与が無視できることを示した。本APDはシンチレータと組み合わせることで、特に優れた性能を発揮することも示した。 3、すばる望遠鏡による最高赤方偏移z=6.3ガンマ線バーストの観測 我々は、すばる望遠鏡(FOCUS)を用いて、宇宙最遠方(z=6.3)のガンマ線バースト(GRB)の分光観測を行い、その赤方偏移を決定することに成功した。このGRBはSwift衛星によって2005年9月4日に検出されたもので、我々はバースト発生から3.4日後に分光を行い、波長域7000-10000Aのスペクトルを得た。この結果、明確な中性水素の吸収による"ラインマンブレーク"の検出に成功、また、z>6の若い銀河中の重元素の吸収線を検出した。このことは、GRBの今までの遠方記録(z=4.5)を大幅に塗り替えるだけでなく、あらゆる天体を通じて、GRBが宇宙最遠方を探査するのに非常に有効であることを示したと言える。
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Research Products
(4 results)