2005 Fiscal Year Annual Research Report
強相関酸化物のナノ磁気構造ならびに光誘起磁性に関する研究
Project/Area Number |
05J08386
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅谷 英生 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強相関酸化物 / 磁気力顕微鏡 / 光誘起磁性 |
Research Abstract |
本研究は低温磁気力顕微鏡装置の開発、ならびに強相関酸化物の磁区構造、光誘起磁性という新たな知見について探求するものであり、ナノスケールでの磁性材料研究の重要性を喚起するばかりでなく、有用な研究ツールを提供している。 ナノスケールでの磁区構造観察が可能で、かつ外部からの磁場印加と光照射が可能な超高真空・低温磁気力顕微鏡(MFM)の開発を行った。前年度までに行った基本的な装置のデザインを元に、MFMヘッド部や冷却機構などのハードウエア、磁気力検知のための制御回路、トポグラフィーと磁気情報を分離するためのソフトウエアなどの開発を行った。 そして、標準試料として用いたハードディスクの観察、およびNd_<1-x>Sr_xMnO_3(NSMO)薄膜(x=0.4-0.6)の低温での磁区構造観察結果に成功した。開発したMFM装置の性能は、空間分解能として200nm以下、力勾配検出感度として5.4x10^<-4>N/m^2を備えていることを実証した。またNSMO薄膜の低温での磁区構造観察では、x=0.45の強磁性領域で、幅200〜300nm程度の磁区が存在することを明らかにした。この大きさはSQUID顕微鏡の空間分解能(〜5μm)よりも1桁以上小さく、その観察には、本MFM装置が不可欠であると結論付けた。 さらに、開発した装置のさらなる高感度化、高分解能化についても検討した。カンチレバーの長さ、厚み、バネ定数、力検出方式、さらには、磁性探針に用いる磁性材料について総合的に検討し、1桁以上の高感度化、高分解能化が期待できることを明示した。特に、MFMの空間分解能を決定する要因について詳細に検討し、磁性探針の先端径、飽和磁化、カンチレバーのバネ定数が重要なパラメータであると結論した。
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Research Products
(2 results)