2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08387
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉山 淳 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハドロン物理 |
Research Abstract |
クォークモデルでは、バリオンは3個のクォークからなり、メソンはクォークと反クォークから出来ているとしている。一方、強い相互作用の基礎理論であるQCDではカラー1重項であれば4個以上のクォークから出来ていても良く、そのようなハドロンをエキゾティックと呼ぶ。2002年にLEPSグループによって発見が報告された粒子Θ^+は、その量子数から少なくとも5個のクォークから構成されていなくてはいけないものであり注目を集めた。そのΘ^+について実験で決まっていない物理量であるQCD和則を用いてそのスピンパリティを調べた。 また、a_0やK_0といったスカラー9重項メソンや、Λ(1405)は量子数では2(3)個のクォークから構成されることを許されるが、クォークモデルからでは、p波の状態となるのでその質量が軽いことを説明するのが難しく、4個以上のクォークから構成されるエキゾティックな構造を持っている可能性が示唆されている。さらに、uクォークやdクォークより重いsクォークの数の勘定を考えると、a_0やK_0の質量スペクトラルの順序を説明するには、エキゾティックな構造を持っていると考えたほうが有利となる。これらのハドロンについてもQCD和則から解析し、エキゾティックな状態の方が質量は小さくなることを見つけた。また、これらのハドロンは2(3)個のクォークからなる普通の状態と4個以上のクォークから構成されるエキゾティックな状態との重ね合わせの状態であることも考えられる。それを議論するため、QCD和則で異なるFock状態の重ね合わせを扱う方法を提案した。その方法を用いて解析した結果、スカラー9重項メソンは約70%以上が、Λ(1405)は約90%以上かエキゾティックな状態で占められているということを見つけた。
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